pianissimo.

「あ、ごめっ、知ってる。えっと……」

「何? 『私なら彼女から奪える』とか思った? あんた可愛いもんなー。つーか、あんた誰?」

「ご、ごめんね。そうだよね。わた……し……8組のカワキタアズサ……です。奪えるとかそんなことは全然……」

「そっ。じゃあこれ、無駄じゃね? 好きとか言われても俺、どうしようもねぇし」


ギーと扉を引く不快な音が聞こえた。

冷酷男め、ろくに彼女の話も聞かずにさっさと帰るつもりだ。なんという鬼畜ぶり。



「待って!」

「何?」


苛立った刺々しい声で返す鬼畜男。関係ない私まで何故か怯んでしまう。怖い。



「じゃ、じゃあ……友達に……。ダメかな?」

「友達って、セフレ?」

「え?」

「『え?』ってー。じゃねぇと、俺にメリットなんもねーじゃん」


残酷な言葉を平然と吐いて、鬼畜男は嘲笑を含んだ軽い笑い声を漏らした。