pianissimo.

「お姉ちゃん、ちゃんと話聞かせて」


ライガが去ってようやくホッと気を緩めたところなのに、唐突に桃子がそんなことを言う。不意をつかれてビクンと身体が跳ねた。


「取り敢えず、中入ろ」

桃子はそう言って、ニッと不敵な笑みを浮かべた。




コーヒーの入ったマグカップ三つと、個包装の小さな四角いチョコレートを用意して、桃子の部屋へ行った。どうして私が……と思いつつも、何故だか弱みを握られているように感じて、逆らえなかった。



「あの子とはどういう関係? 友達?」

私が腰を落ち着けるなり、いきなり本題に入る桃子。よっぽど興味があるみたい。その気持ち、わからなくもないけど。


地味で真面目だけが取り柄の姉、男っ気なんて今まで皆無だった姉が、自宅に男子を連れてきたのだから。と言っても、実際には私が連れてきた訳ではないけれど。



学校で中庭花壇の花の世話をしていることから説明し、そこでライガと何度か言葉を交わすうちに、ちょっとだけ仲良くなったのだ、と。最小限のことだけ話した。