pianissimo.

巧いこと立ち上がらせることは出来たけれど、踏ん張る力がないのか足元が酷く不安定で、グラリ、ライガの身体が大きく傾き、私に寄り掛かった。


咄嗟に私、彼の胴体を両腕でぎゅうと抱き締め受け止めた。



「あ、ごめん。大丈夫?」

頭の天辺に落ちて来た心配げな低い声。見上げれば、痛々しく崩れた顔が素敵に微笑んでいて、眩しくて胸がキュッとなった。



大丈夫じゃない人に『大丈夫?』と聞かれ、なんだかとても不思議な気分だ。というか、この子デカい。175以上あるんじゃないかな。先月まで本当に中学生だったの? と疑ってしまう。