入学式、はらはらと小雨が降り注ぎ、湿った運動場は色を変えていた。



桜、散ってしまわないかな。

雨だけでも充分憂鬱なのに、そんな不安に一段と気持ちが落ちる。




三年生の私は在校生として出席。


開式の辞、校歌斉唱、学校長挨拶。毎年、毎年、全く同じ繰り返し。

もう三回目、いい加減うんざりだ。中学のを入れたら6回目、小学校のも入れたら……ってもういいか。



真面目だけが取り柄の私は欠席する訳にはいかないから。

溜め息あくびは何としてでも呑み込む。そうしながら背筋をピンと伸ばしてパイプ椅子に座り、じっとこの退屈に耐えていた。