pianissimo.

「彼氏じゃないよ」

「じゃ、なんで抱き合ってたの?」


う……。気の利いた言い訳なんか全く思い浮かばない。どうしよう。



「今日、俺ちょっと寝不足でフラッと……ね」

ライガは平然と嘘を口にし、ニッと笑った。「ども。凜子先輩の妹? あんま似てねぇのな」なんて続けて、初対面の挨拶もキッチリ一度に済ます。



「ライガ……じゃん?」

桃子の友達が、どこか迷いのある弱々しい声でライガに向かって言った。


「うわっ、設楽(シタラ)? お前、ここで何やってんの?」

ほんの少し動揺を見せるも、その声は軽快で愉しげ。二人は親しい、もしくは親しかったとすぐに悟った。


「何って……。友達んちに遊びに来ただけだけど」

言って、桃子の友達はクツクツ喉を鳴らして笑う。