pianissimo.





「おねえ……ちゃん?」


かなりボリュームを絞った声だったけど、私たちの鼓膜を痛烈に震わせた。



反射的に、私とライガはお互い後方に飛び退いて離れた。適度な距離を確保し、二人揃って恐る恐る声のした方へ視線をやった。


妹の桃子(トウコ)とその友達の――『何ちゃん』だっけ……。目をドングリのように見開いて、茫然とこちらを眺めていた。二人は同じセーラー服を着ているから、学校の友達だ。ということは浦商(浦山商業高校)。



音を失くした空間はとてつもなく居心地が悪い。その圧迫感に耐え切れなくなった私は、おずおずと口を開いた。


「桃子、お帰り」



その言葉が引き金となり、桃子の口からも堰を切ったように言葉が溢れ出す。


「お姉ちゃん、こんなとこで何やってんの? てか誰、その人、彼氏? お姉ちゃん彼氏いたの? 出来たの? いつ?」