pianissimo.

「ついでに自分のも入れてきたら?」


と。ここでいつもの柔らかい笑みを見せる。これじゃあ誰も逆らえない。策士だ、と思った。ライガは計算なんかしていないかもしれないけど。



ブツブツ文句を言いながらも、二つのグラスを手にドリンクコーナーへ向かう姫花ちゃんを、ライガは瞳だけで追う。そうしながら、シートの背もたれにゆったりと背中を預けた。



ライガは目の中の漆黒を私へと戻し、

「ごめんね」

ポツリ、静かに謝った。


「え? 何が?」

「嫌な思いさせて」

「え? そんなことない、楽しいよ。嫌な思いなんか……」


切なげに揺れる瞳を見て、ライガは全てお見通しなんだと知る。



「嫌な思い……ちょっとだけしてる、かな」