pianissimo.

仰向けで寝転がったまま、ライガは開ききらない目で私を見上げ、

「大丈夫だから。ほっといて?」

不自然なほど明るい声音で言って、微かに口角を上げ、綺麗に並んだ白い歯をその口から覗かせた。


どうやら微笑んだつもりらしい。けれどその努力も虚しく、今のライガは傍から見たら、痛々しいことこの上ない姿だ。まあ放っておけと言うぐらいだから、本当に大丈夫なんだろうけれど。



「そうしたいんだけど……今すぐそこ、どいて欲しい。花があなたの下敷きになってる」


「あっ」と小さく声を漏らし、両肘を立てて少しだけ身を起こしたライガは、左右交互に見回してようやく自分がどこに寝転がっているかを把握したようだ。