pianissimo.

グイと私も押し返す。そしたら――


「もういいの? 名前変えなくて」

さっきの私と同じセリフを言われ、今度は私が「よくない」と答えて引き下がった。



画面を覗くのは諦めて、グデッとライガにもたれ掛った。


「先輩、おもっ」

携帯画面に視線は落としたまま、ライガは笑う。


ムッとして「うっさい」と返しつつ、私のお腹に添えられているライガの右手に左手でそっと触れたら、ライガは何も言わず、当たり前のように指を絡めて繋いでくれた。



まるで恋人のように、大切に、愛おしげに接してくれるライガに、自分がどんどん溺れていくのがわかる。


ライガにとってこれは、『現実逃避』のための単なる『恋人ごっこ』かも知れない。

けれど、私にとっては、唯一無二の――


『誠』だった。