pianissimo.

「どうして『オ』のとこなんかに……」


ブツブツ言いながらもア行を開いた。ポチポチポチポチ、ボタンを押しながら下の方へスクロール。


見付けた。多分、コレだ。



「この『オレ』ってやつ?」

「ん、そう」

「なんで『オレ』?」

「『オレ』だから?」

「じゃあ、私のも『ワタシ』に変えて」


ライガは「えー」っと嫌そうな声を漏らした。


「ダメなの?」

振り返ってライガを見上げ、少し膨れて言った。


「ダメじゃない。めんどくさいけど」

愚痴りながらも、渋々ライガは携帯電話のアドレス編集に取り掛かる。

画面を覗き込めば、「頭、ジャマ」と、ライガは私の肩に顎をのっけて、その頬にグイと押されて顔を横に退かされた。