「俺は……俺の全部が、凜子先輩だけのもんだから。忘れないで……」



吐息のような微かな声が、私の鼓膜を小さく震わせた。それは、私の身をとかしてしまうほど甘美で、けれども酷く切なげで苦しげで……。目の奥も胸もじーんと熱くなって、涙が止め処なく流れ出た。




その場しのぎの嘘だとわかっていた。それでも私は騙されたい、騙されようと思った。


曖昧で不安定な繋がりだけど、私にとっては掛け替えのない大切なものだった。


本当に幸せだった。

ライガの口から紡がれる嘘も、真実だと錯覚してしまうこの瞬間が、とても幸せだった。



愚かだと笑われても構わない。

ライガが私に飽きるまではずっと、そんな愚かな自分でいたいと願った。