pianissimo.

何も言葉にできなくて、ライガの視線から逃げるように俯いて、ただ、顔を左右に力なく振った。




静けさの中、お互い向かい合って、身じろぎもせず立ち尽くしていた。

私はじっとライガの足元を見詰めたままだ。だからライガが今、どんな表情をしているかわからない。当然だけど、何を考えているのかなんて尚更……。



「いい? さっきの続きして」


不意に掛けられた言葉に、ゆるゆると顔を上げれば、ライガは照れ臭そうに笑っていた。


「うん」と答えたら、「ダメな時はちゃんとダメって言ってね」なんて言いながら、そうっと私をその両腕で優しく包み込んだ。



「ねぇ、『ラオウに殺(ヤ)られる』ってどういうこと?」

ふと思い出したら、どうしようもなく気になって、ライガに尋ねてみた。


「『ラオウ』ってのは俺の兄貴。あだ名。ほら、『北斗の●』の『ラオウ』、知らね? あれに似てるから」


愉しげな笑い声がライガの胸を微かに震わせ、私はその振動と共にそれを聞く。どうしてこんなにも心地いいんだろう、と思いながら。