pianissimo.

「電話……電話して。助けを呼んで」

私の胸を包んでいるライガの腕に、自分の両手を掛けて訴えた。


ははっと乾いた笑い声が短く聞こえた後、「何それ、現実的」などと不満げな声が返ってきた。



「何か文句でも?」

「うん、ちょっと……」

「『ちょっと』、何?」

「んー、何て言うんかなぁ……。もう少しだけ現実逃避していたかった、みたいなね」

「へー」



何故だか妙に納得してしまった。私とのコレは、ライガにとって『現実逃避』なのか、と。

凄く曖昧だけど。一体ライガに、どんな逃避したいほどの現実があるのか知らないけど。


ほんの少しでも、ライガの役に立てたのならいいか、みたいなね。