少し時間が経ってからその場を後にした幸夜が足を向けた先は…
カラン…カラン…
喫茶店‘Engage’
重々しい木材の扉を開けると綺麗なベルの音が鳴り響くと共に甘い香りが漂った
「…いらっしゃい、幸夜。今日は何にしようか?」
店の奥のカウンターから低く透き通った声が聞こえた。
カウンターにいた男の人はグラスを丁寧に拭きながら幸夜に問う
「…マスター!オレ、とうとう応募したぜ!!」
バタバタと足音をたてながらカウンターまで走った
「あれは結構自信作なんだ!絶対に賞がとれるはずた!!」
幸夜が興奮気味で言うとマスターと言われた男の人は…
「…それは良かったですね、でも幸夜?他のお客様に迷惑でしょう…」
吹いていたグラスを置き、幸夜と向き合った
「…前にも言ったように…走り回るな!埃が舞う!バカ声出すな!無駄に響く!」


