―――どこで見かけたのか、
コイツは誰だったか、
そんなことを考えていたら、
ぶっ飛んで来た男を見ながら、
何かを話し始めた男2人。


「………チッ。完全に伸びてやがる
な」

「ケンカ、止めに行きますか?」

「否……いい。…………どうせ、
止めても無駄だろうから」

―――止めても無駄…?


なんだ、その、
このバカをヤったヤツを
知ってるような口ぶりは。


「………まるで、このケンカの中
心にいるヤツを知ってるかのよう
な口ぶりですね。まぁ…止めなく
てもいいなら、別にいいんですけ
ど」

「帰るぞ」

「はい」

―――当たり前だといえば
当たり前だが、
俺に視線が移ることもなく、
その男2人は立ち去った。