体がカッと熱くなった。
本当のところ、ここ長い間抱かれていて感じた事がなかった。
いつも苦痛で、早く終わらせようとその度に演技をしていた。
アイツはいつも私が簡単にイクと思って満足していたらしく、「お前早えーよ、まだイクんじゃねぇ」と、あの美声で責め立てた。
あまりさっさとフリを始めると相手は誤解した挙句興奮して余計に長くなると学んでからは、いつもの手順の中ごろから、などと冷静に考えもした。
思えばその頃から、私は斎に疲れていたのだろう。
体が触れ合うたびに泣きたくなった。感じることが出来なくて、自分が異常なのかと思いずんと落ち込んでいた。
でも、好きじゃあなかったから、なんだな。もう心が拒否していて、一種の拒絶反応だったんだろうな。
それにしたって二人であの行為を真剣に純粋に楽しんでいた頃だってあったのだ。あの綺麗な瞳を潤ませて、愛おしそうに私を見詰めていた時だってあったのだ。
なのに。
なのに。
最後に投げつけられた言葉はあれだった。
家政婦が欲しくて――――――――ボロ雑巾みたいな―――――――――
あの言葉が、完全に私の情を吹き飛ばした。今までの少しだけでも確かに存在した、キラキラした時間が消え去ったのだ。



