女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~



「今日は帰る。頭が混乱してる。また明日、電話して下さい」

 無表情で彼を見上げて、一気にまくし立てた。

 私をじっと見て、掠れた声で、彼が言う。

「・・・帰さないと言ったら?」


 私はじいっと彼を見詰めた。


「今日であなたと縁が切れる」


 黙ったまま暫く目を合わせていて、彼が先に視線を外した。それからふう、と大きく息を吐き出して私に言った。

「・・・・判った。酒飲んだから、電車で送る」

 その申し出を断れないことは知っていた。



 今日は流石に神社前を通るのは止めた。

 斎と対決したのがほんの昨日のことだとは思えない。・・・って言っても、もう日付変更線は越えそうだけど。

 歩きながら、そういえば、と私は疑問を口にした。

「昨日、どうしてあの場所にいたんですか?驚いたけど、斎に対処するのに必死で聞くどころじゃなかった」