「君に惚れてしまったから、手にいれたくなった」
体が発火したかと思った。
いきなり恥ずかしくなって、私は反対向きに転がった。心臓がドキドキ言っている。
真っ直ぐな告白は、心臓に悪い。
桑谷さんは掠れ気味の低い声で続けた。
「君は思ったよりドライだったし、全然媚ないし、会話もさばさばと正直な反応だった。この女性を抱いたら、どんな顔をするんだろうと思わせる淡白な表情で飲んでいた。しかも・・・・何てことないみたいに、不感症かもしれません、なんて・・・」
・・・・・言った。
確かに、私言いました。
あの時は、本当に全く、なんとも思ってなくて。いいました、たしかーに。私は自分の頭をハンマーで叩きたくなる衝動に耐えた。
何てこと言ったのよ、私ったら!
「・・・だから、余計に興味が沸いたんだ」
眠気が吹っ飛んだ。
私は無言でむくりと起き上がって、鞄とカーディガンを持った。
むき出しの床にヒールの音を響かせながら、ドアに向かって歩いていく。
「・・・・おい?」
入口にたどり着くまでに、桑谷さんの長い足が出てきて邪魔をした。



