私はベッドに寝転びながら、ううーんと両腕を伸ばした。そしてそのまま力を抜く。本気で眠くなってきた。
「・・・続きは明日にしません?」
「早く言え」
・・・全く、この石頭。
仕方なく、そもそもの始まりを話した。かなり久しぶりに斎が来た、あの夜の事。
頭に血が上って自殺未遂をしたこと。病院の天井を見ながら復讐を誓ったこと。退院してから百貨店に入るまでの経緯。無事に百貨店に入れて、斎に金を返せと迫ったこと。自分がやった色々な情報操作も。
ビールも飲まないで、桑谷さんは黙って聞いていた。
時折苦しそうな顔をして唸った。
そして目を伏せて、長い間下を向いていた。
「・・・だから、私的には、一度斎に殺されてるの。仕事もお金も失った。だったらもう怖いものなんてないと、仕返しを決めたの」
「・・・・君が、無事でよかった」
彼の声が掠れていた。片手で顔をごしごしとこすって、大きなため息をついた。
「まさか、そんなことをしていたとは」
「予想外でしたか?」
ああ、そう低い声で頷いて、彼は動かずに私を見る。
「―――――――倉庫で君を飯に誘ったのは予定通りだった。でもその後は―――――・・・全然、予定通りなんかじゃない」
手で隠れていない片目で私をじっと見ていた。



