「と、思います。すぐ後に棚の影から出てきて、俺達やり直せないのかとかなんとかほざき始めたから」
「そこに俺が登場した」
「そう」
「ってことは、君は―――――――3回も殺されかけたのか!?」
桑谷さんの声が大きくなった。私は目を閉じたままでヒラヒラと片手を振る。
「・・・正しくは、4回。全部失敗したのはアイツがバカだったからと、私がラッキーだったから、が同じ程度で影響した結果」
唸り声が聞こえた。
足音がこちらに近づいてきて、目を開けると私に覆いかぶさるようにして間近に桑谷さんの顔があった。ぐっと目を細めている。
「・・・・・何だ、そのもう一回は。聞いてねえな」
「言ってないもの」
「言えよ」
私は微かに笑って、近くにある桑谷さんの唇をじっくりと眺めた。・・・あら、美味しそうな唇。
その視線の企みに気付き、ぱっと彼が身を起こして台所まで戻った。
「・・・・残念」
私の呟きに、まだダメだって苦しそうな答えが返ってきた。
「君に襲われると話が出来ない。誤魔化すのは止めて、いいから早く言ってくれ。いつなんだ、その4回目は」



