「はははは・・・はあー・・・」
仰向きにゴロンと転がって、私はやっと笑いの発作が収める。
空腹にビールだけを入れていて、常識はずれな展開の話を聞いていたら夢の中にいるみたいだ、と思った。
「・・・寝てる?」
目を閉じて規則正しく呼吸をしていたら、桑谷さんの声が聞こえた。
「・・・起きてます。続きをどうぞ」
暫く間があって、また話し出した彼の声をベッドに仰向けで寝転んだまま聞いていた。
そんなわけで、部長の相談を受けてから、簡単にだがアイツの過去を調べた。
この10年間をちょっと見ただけでも3件の怪しい経歴があった。いづれも女性がらみで、逮捕や起訴や立件はされていないけれど、警察に名前を覚えられるくらいのことはしたはずだ。
「・・・マジで」
私は目を開けて呟いた。
女性がらみで3件も。しかも、この10年で。アイツは一体どれだけの非道なことをしてきたんだろう・・・。それが判らずに付き合って、命まですてかけた私は本気で大ばか者だわ・・・。
凹んだ。
自分の人を見る目を疑った。
2年も付き合っていて、何も判っていなかった。
小林部長は一発で見抜いたらしいのに・・・・私ったら、一体どこに目をつけてんのよ・・・。



