女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~



「こんっ・・・な、とこ、ろ、で・・・桑た・・・」

 私が呼吸するのに必死になっていると、ざらざらした低い声が耳元で責めた。

「―――――――ここで誘惑したのはそっちだろう」

 彼は器用に私を押さえつけたままで下着を取り去る。大きな指が的確に私の弱いところだけを狙ってきて、我慢出来ずについ声を漏らしてしまう。

 淡々とした声で彼が言った。

「・・・聞こえるぞ、外を通るやつに」

 私が下唇をかみ締めて耐えていると、彼はその上から唇を押し付けてクククと笑った。

「俺は別に構わない。ほら、聞かせてやれよ」

 近付いては遠ざかって行く靴音が余計に刺激になる。

 膝が震えて立っていられなくて、手を伸ばして彼にしがみつく。いつのまにやらほとんど裸の状態で、声を出さないことだけに一生懸命になっていた。

「・・・ここ。それと・・ここもだな」

 腰を抱え上げて突き動かされ、ポイントだけを何度も攻められる。世界は二人だけになり、羞恥心など吹き飛んでいた。自分が今どんな格好で、どこに何をされているかが判らなかった。


 最初の時は、様子見だった。

 次の時は、優しい、型どおりのやり方で。

 そして今日のこれは、激しくて、淫らで、遠慮のない正直な欲望で溢れ返っていた。