そんなに頻繁に見られているとは思ってなかったし、気付いてもなかった。目立ったのだろうか。誰がみても判るほどに。
「・・・目立ってましたか?」
そう聞くと、彼は軽く首を振った。
「いや、そんな不自然ではなかったと思うけど。俺は君と話したくていつも目で追ってたから気付いただけ」
さらりと恥ずかしいことを言う。もう一口コーヒーを飲んで、その茶色い表面を見詰めた。
「・・・それは、すみません」
桑谷さんは苦笑したようだった。目をやると、口の左端を上げている。
「君にとっちゃ、何でもないみたいで悔しかったな。俺はこの一週間、意識してそわそわしっ放しだったてのに・・・」
そうか、部屋に送ってくれた日から今日まで話してなかったんだ。
成り行きとは言え抱き合いまでした人、それから別の日にキスをした男性をここまで気にしなかったのはちゃんと理由があるんだけど、そんなこと彼は勿論知らない。
・・・うううーん・・・ここにも悩みのタネが。
私が俯いて考えていると、前に座った男がボソっと呟いた。
「・・・・何だ、やっぱり俺の片思いかよ」
「―――――」



