最後の教室

最後の自分の机

本当に最後の最後だ

教室に入るとクラスメイト達が卒業アルバムに「別れの言葉」を書いていた

ふと黒板を見ると
『三年六組のみんな、卒業おめでとう!』

担任がチョークではなむけの言葉として書いてあった

しばらくすると担任が教室に入り私の前に立った

「ユキくん、卒業本当におめでとう。本当によく頑張ったね。いつも怒ってばかりだったけどこれからは怒られないようにね。もう大人です。自分の事は自分で責任をとる年です。先生はそうしたつもりですし、ユキくんを信じています。辛い時や困った時は必ず連絡ください。ユキくんは一生私の生徒であり、先生はユキくんの一生の先生です。高校生になっても大人になってもその陽気さだけは無くさないでください。それが君の宝物でもあり周りの友達の元気の源だと思います。つらい時こそ笑ってられるユキくんでいてください。この三年間、先生の生徒でいてくれてありがとう。本当に卒業おめでとう」


先生の目からは涙がこぼれ落ちていた

私も目頭があつくなり返す言葉が出ないくらい下を向いてしまった

お互いが恥ずかしそうに笑顔を振りまいていた

気を引き締めて言った言葉は

「ありがとう」


これだけしか言えなかった

いやこれしか言葉が出てこなかった

人前で泣くというのは恥ずかしいものだと思っていたが感情が爆発してしまい

私の頬を一粒のあたたかい涙がこぼれ落ちた

なんど目をこすっても次から次へと流れてくる

最後になって悲しいけど先生の生徒で本当によかった

最後に先生は

「ほら、ユキくんらしくないぞ!顔を真っ直ぐ向いて胸はって笑ってよ。さぁ式に行ってきなさい」

「はい」

言葉にならないくらいの元気をもらえた気がした

本当にありがとう