心臓の音が若菜に聞こえていないか心配だった

若菜を抱き締めている間は安堵感で一杯だった

小さくてあたたかい手で私を抱き締めてくれた

二人は体を重ね合いひとつになった

部屋は寒かったが私の心の中は真夏だった

世界のお祭りをひとつ位増やしてもいいだろうというくらい私にとっては大事件だった

私は夜眠れず隣りには若菜がスヤスヤ寝ていた

その寝顔は私にとってはどんな名画よりも素晴らしく私の宝物のひとつだった

眠れない私は若菜を起こさないようにそっと布団を抜けだし外に出た

町はまだ朝日も昇っていないせいか薄明かりだった

ひとり自動販売機でコーヒーを買い近くの公園でひとりタバコを吸っていた

恋人同士の当たり前の行動に少し驚きながらも自分なりの達成感があった


誰もいない公園で踊るかもしれないくらいの喜びでもあった

部屋に戻り布団に入ると隣りに若菜がいるか確認してしまった

いなくなっていたらどうしようと思うくらだった

若菜の前髪を起きないように手でかき上げると私は笑顔になってしまう

ずっとこんな事が続けばいいなぁと思う土曜日の朝方だった