腕はしっかり握られてて、いつの間にかドアに背を向けさせられてる。


もう…にげられないな。


「どっち…?」


「…お仕置きが…いいです」


あたしは蚊の鳴くような声でそう伝えた。


「ん…了解」


谷内は甘い声でそうつぶやくと、だんだんとあたしに顔を近づけてきた。


やっぱり…イヤ…


谷内とあたしの唇は、あと数ミリでくっつく。


あたしはギュッと目をつぶった。








「…?」


何も起きない。


どういうこと?


「お前、バカじゃないの?」


はぁ?