「先生!」
場所を伝えて、谷内がこっちに向かう間に簡単に事情を説明した。
『ばっかだなぁお前ら…』
自分でも、本当にそう思う。
駅前なんか、来なきゃよかった。
「お待たせ。田中は?」
「多分、あの中」
あたしは、さっきまでいたゲーセンを指差した。
「じゃぁ、俺行ってくるから、お前は車の中で待ってろ」
「えっやだ!一緒に行く!あたしも悠莉助けたい!!」
「ばか、お前が行ったらまた襲われんだろ?大人しく待っとけ。あと、警察に通報しとけ!」
行きたいのに…
「わかった…先生、絶対悠莉助けてね!!!」
「あたりまえだ」
そう、にやりと笑う谷内に一瞬キュンとしたけど、すぐに複雑な気持ちになった。
谷内の言う通り、大人しく車の中で待っていよう。
黒のかっこいい車の後部座席に静かに腰を下ろした。


