いつもの甘い声を耳にして、少し安心したのか、目に何かがこみあげる。


「せんっせ…い…」


『…どうした?』


谷内の心配するような話し方に、ますます涙腺が緩む。


「せんせ…悠莉が、悠莉が…」




でも、そこで正気に戻った。


谷内、今仕事中じゃん。


彼氏と会うとか嘘ついて、あたし約束断ってるじゃん。


ここで、さっきのこと話したら、迷惑かけちゃうよ――


あたし、めちゃくちゃ自分勝手だよ。


でも…


悠莉は、まだあいつらと一緒にいるんだ。


あたしだけ、逃げてきたんだ。




もう…どうしたらいいか、わかんないよ…