「失礼します…」


恐る恐る、社会資料室のドアを開けた。


ばくばくばくばくばくばくばくばくばく


尋常じゃないくらい、あたしの心臓は騒いでいる。


静まれ―っっ


静まれ―っっ


「静まるのはお前だよ」


そんな甘い声とともに、ファイル的なものがあたしの頭に降ってきた。


「谷内・・・せんせ」


見上げると、そこにはいつもの谷内がいた。


「あのなぁ、ここ、社会研究室だから、まちがえてんじゃねーよ」


「えっ?!嘘っ!ごめん…なさい」


「それに、静まれ―とか言ってんじゃねーよ。不気味だよ」


「うっそ声出てた??心の中で言ってたつもりだったのに…」


「ばーか」


「先生がバカって言った!生徒に向かってバカって言った!!いけないんだー」


「はいはいはいはい資料室行くぞ―」


ぎゃーぎゃー騒ぐあたしの背を押して、メガネの谷内はあたしを社会資料室へ連れて行った。