ついにやってきてしまった、わたしが中学を卒業する日。


今朝、部活の後輩への手紙を書いていたら、家を出るのが遅くなってしまった。

だから、わたしは小雨の中を走っている。


傘が大きく揺れ、制服が濡れる。

わたしは構わず、走り続ける。

嫌なことは考えないように、とにかく走った。


つい先日まで受験生だった、運動不足の体には、800メートルのダッシュはかなりキツイ。


喉がカラカラになって、唾を飲み込んだ。


「ハァ……ハァ……」


すれ違ったおじいさんがわたしを見て、ぎょっとした。