サクラ

「そういえばさ、一回だけ、めっちゃキレたよね、友莉」

「え?いつ??」


特に心当たりはなかった。

いつも冗談で、怒ったふりをしている。


「ほら、去年。水道で水かけたら、怒ってしばらく口聞いてくれなかったじゃん」

「あっ。ああ。気づいてなかったの?」


わたしはいけちーの顔をまじまじと見つめた。

「は?」

いけちーは首を傾げた。

ポニーテールが、くてんと揺れた。


わたしは口の端に、ニヒルな笑みを浮かべて言った。

「あれは、演技だったの」