サクラ


ある日、ちょうど下駄箱で、遥菜と鉢合わせした。

「宏樹の家ってどっち?」

遥菜はまっすぐ僕を見て言った。

あの時は、心臓が止まるかと思った。


「え。あ。う、海の方」

遥菜が首を傾げた。


なんて馬鹿なことを言ってしまったんだろう。

僕は恥ずかしくてたまらなくなった。


ここらへんは、ぐるりと海に囲まれている。

学校の北と西以外の方向は、全部「海の方」だ。

「あっちの方?」

遥菜が苦笑しながら、東の方を指さした。

「う、うん……」

僕はなんとか返事をした。


すると、遥菜は満面の笑を浮かべて、衝撃的な発言をした。