「遥菜。帰ろう」
視線を逸らしたまま、言った。
「うん」
遥菜が小さい声で返事して、そのまま連れ立って歩いた。
徐々に鼓動が速まる。
クラスメートの妙な微笑みを、視界の端で確認した。
――そんな目で見るなよ……。
なんたって、今、僕の隣にいるのは学年1の美少女。
仕方ないと言えば、仕方ない。
僕は、自分のレベルを弁えているつもりだ。
僕は、平凡な人間で、鈍臭くて、頭も弱くて、たいした取り柄のない人間だ。
前までは、遥菜はまるで別世界の女神のような存在に思っていた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…