「…うまそうな匂い。」
「…おいしいと…思うんだけど。」

苦笑しながらそう告げる。
私の部屋へ入ってきたのは、いつもベランダで喋っていた彼だ。

「君がつくったなら、大丈夫でしょ。」

早々に机に腰を下ろすと、リンゴを頬張る。
熱いのか時々声をもらしながら。

「…熱いし、甘いな。」
「そりゃぁ…ポットパイなので…。」

囁くようにそう呟く彼でも行動は止まらず、食べ続ける。

私はそんな彼を見てから、キッチンへと向かう。
甘いものには、すっきりした飲み物。

考えながら冷蔵庫を開ける。

そんな毎日が始まって、もう、数日だ。