初めて気付いた瞬間

「そうじゃ…ありません。」

私はかすれた声を出し切った。
これが本心。まぎれもない本心。

「…俺…アンタが好きだよ。」

あの人の口から出てきた言葉は、私がほしいと思っていた言葉そのもの。

「まだ、あって間もないけど。みた瞬間、可愛いっておもった。最近だって聖とばっかり。俺のこと…眼中にないと思ったからあきらめてた。」

口から滑るように本心が漏れていく。
あの人が語る言葉の一つ一つが私の心を大きく包んでいく。

「でも、樹の時、真剣なアンタを見て。やっぱ誰にも渡したくなかったんだ。」

その言葉を吐いた後、彼は俯いてしまう。

「あのベランダの会話が、できてればそれで良いって満足してた。でも、もう無理。もうあれじゃ我慢できない。」

俯いた彼がまたリンゴを手に伸ばす。

「…俺のものになってみない?。」

そんな甘い誘惑が、私を待っていた。