初めて気付いた瞬間

「遅い!。」
「遅いって、楓が先に行ったんでしょ?。」
「アンタがぼーっとしてるからいけないんでしょ。」

苦笑しながら私の先を歩いていく。
電車を使う楓は駅までの道のりを私と歩いて帰る。

長いようで短い時間が過ぎて、楓は手を振り交差点を右に曲がっていった。

隣を見覚えのある車が通り過ぎていく。
あれは…私のマンションの駐車場に止まっていた車に似ていたような気がする。
もしかして同じ家に住んでる人!?
なーんて、車なんて買う数だけいるんだからそんな奇遇なことあるわけ…。


「…綾ちゃん?。」

ふとした瞬間、声が聞こえた。
驚いて顔を上げると、先ほど隣を通って行った車が、少し先で止まりランプをチカチカと点滅させている。
その車から声をあげて出てきたのは、朝みた姿だった。

「聖君!。お疲れ様、今仕事が終わったの?。」
「うん!。後ろから通ったら、綾ちゃんだったから止まってみた。」

にこやかに笑うと、私に手を差し出した。

「どうせ同じマンションだし、乗ってってよ。」
「え、悪いよ。そんな…。」
「いいからいいから!…あ、事故は起こさないよう安全運転でいくから!。」
「…ぷっ…。じゃぁ、お言葉に甘えて。」

私は聖君に促され、助手席へと乗り込んだ。