私がこの家に住み始めてから、一か月近くが経つ。
香奈さんの一件や、樹さんとのこともあったけど、それがあったおかげで、樹さんとも気軽に話せるようにすらなっていた。

そのなかでも聖君は、私といつも仕事に行く時間が同じくらいだった。
歩いて会社へ行く私とは違い、聖君は車で向かう。
そのため、エントランスよりもずっと前、家の前で彼と会ってしまう。
最近は樹さんも顔を出すようになり、三人一緒にマンションを出ることが多かった。

「…最近、綾ちゃんは樹と仲良くなってるよね。」
「…へ!?。」

聖君がボソリと呟いた。
私よりも少し高い身長の彼は私に笑顔を向ける。

「僕の友達が、綾ちゃんと仲良くなってくれると、僕も嬉しいな。」
「でも、こんな風に今でも気あるに話せるのは、聖君だけだよ。」

私の本心漏れた。
その言葉を聞いて、聖君の笑顔は満開の花のように開いた。

「本当に!?。」
「うん。」

偽りのない言葉に、二人してにこやかに笑っていた。