あれから、数週間がたった。
私の生活はいたって変わらない。
一つだけ変わったとすれば…。
「おはよう。藤崎さん。」
「おはようございます、樹さん。」
数日に一度だけ交すような挨拶だった。
でもそれは確かに私をこの生活になじませてくれる。
樹さんは以前より、笑顔を見せてくれるようになった。
「あー!!ずるいよ!樹!。」
隣から大きな声で走ってきたのは、聖くんだった。
「毎朝挨拶してるのは僕なんだから!樹が最初をとらないでよー!。」
ぶーぶーと文句を言う聖君。
樹さんはそれを見て、苦笑しながら
「お前が遅いんだろ?仕方ない。」
といいながら手を振った。
私は隣でクスッと声を上げると、聖君が向き直る。
「改めて!綾ちゃんおはよ!。」
「おはよう。聖君。」
声を返すと、嬉しそうに笑った。