「…。」

その後の話を聞いて、私は心底安心した。

香奈さんのお付き合いしている男性は、本当に浮気などしていなかったらしい。
私と別れた後焦った彼から電話があり、
「お前なしじゃ、もう駄目なんだ。」という一言に涙を浮かべたそうだ。
それに安心した香奈さんは決心したという。

樹さんとの曖昧な関係を終わらせることを。

「今まで、樹とはいい友人といしていられればいいと思ってた。だからこそ何度も何度も甘えて頼りっぱなしで…ダメな女よ。」

今までのことを反省している、と顔にかかっているような表情。
その隣に座っていた樹さんも同じような顔をしていた。
ゆったりした座り方をしていても、時折香奈さんの言葉に肩が揺れる。
まだ、まだ想ってる。

香奈さんはこのことを私に伝えようとマンションに戻ってきた。
そこで樹さんとバッタリ会ってしまうのだった。

私との口論の後、樹さんはマンションを出ていた。
そこで出くわした二人は、気まずい空気に包まれ、
やがて香奈さんがいった。