翌日

私が働くのは一般的な会社だった。
難なく就職した場所だったが、いまでは慣れたほう。
なんて言い方はいけないのかもしれないけれど。
今日一日の仕事も、もう終わる。
何もない、普通の毎日がまた。


「綾お疲れー。」

そう声をかけてきたのは同僚の楓。
笑顔のまま私の肩に手を置く。

「お疲れ楓。今日はなんか機嫌いいのね?。」
「わかる?わかっちゃう?実はねー…理人と来週旅行なの!!。」
「嘘!理人君と!?やったじゃん!。」

楓とは二年前、この会社で出会った。
一緒に仕事を始めてから、意気投合した私達はプライベートでも仲良くさせてもらっている。
そんな楓には大好きな彼氏がいるのだ。
名前は本田理人くん。
ひとつ上の21歳。楓は一年ほど前から付き合っているのだという。

「綾も、早く彼氏ができたらいいのにね!!。」
「私はいいよ。遠慮しとく。」
「え!?綾の容姿で遠慮とか失礼に値するよ!!。」

私の両肩に手をついて本気の顔で私を言いなだめる楓。
はいはい、とため息をつきながら私は会社を出た。

何気ない話をしながら楓と別れると、すこしだけため息が漏れた。