「そこらへん適当に座って。」
促されて初めて入った彼の部屋。
この超展開に心も頭もついていかない。
何故こんなことになってるんだ?と頭の上にはてなマークが浮かぶ。
そんなことを考えていると、彼は…大蔵翔さんは私の前に立った。
「材料、くれないと作れないんだけど?。」
苦笑交じりに優しく買い物袋を持ちあげる。
手に食い込んでいたかった右手は彼がそっと持ち上げてくれたことで痛みを失った。
自然な流れで彼の家へと上がってしまったが、気付く。
「い、いやいや!翔さん!?。なんでこんなことんなってんですか!?。」
台所へ向かい、材料を確認している翔さんに声をかける。
「何か問題でも?。」とでも言いたげな表情で私を見た。
「こんな風にしてもらう理由は無いんですけど…。」
「…。」
私がそう言葉をかけると翔さんは黙ってしまった。
その瞬間、私の頭に手を乗せていった。
「…泣いてたんでしょ?。」
