「ふぅ…。」

一息ついて電車の中の座席に座る。
8月下旬の今でさえ、残暑が厳しく暑い。
電車の中は程よくクーラーが効いていて心地よかった。

2年前。
私がこの町に越して来た時のことをしみじみと思い出す。
あのときは必死だった私がいた。

「…今じゃ、夢みたいな話だけどね。」

私は独り言のように呟いて。そのまま眠りにつくことにした。

どうせ、私の降りる駅は終点なんだから。

思えば今でも、あの結末を逃れたいと思った事は何度もあった。
でも、それでも。
私がすべてを失ってさえ、まだあの家族が私を迎え入れてくれたことに。
私はどれほどの感謝をしているのだろう。

だからこそ、一人で生きなければならない。







約束はそう近くにやってくる。