「綾さん、ね?。よろしく。私もこの近くに住んでるから。」

そういって片手を出してくる。
私も応じて握手をする。
その手は、指すら細い女の人の手で、吃驚するほどに温かい。

「香奈。そこら辺にしな。家帰る途中でしょこの人。」
「あ、そうね。邪魔してごめんなさい。」

寧ろその言葉をそっくり返したいという衝動に駆られながら、
お言葉に甘えて部屋に突っ込んで帰った。


しかし吃驚した。
樹さんにあんな綺麗な彼女さんだなんて…。
ん?まてよ?
確か古い友人とかって言ってたような…。

疑問を抱えたまま部屋の中へ入ると、私はまた一息ついた。