「翔さんって、何してる人なんですか?。」

話のネタが無くなってお互い黙っている時間が多く、その沈黙に耐えられなかった私が口に出した。

「俺は…まぁそれなりにきちんとした仕事かな。」
「そうなんですか…。」
「そういうアンタは?。」
「私は普通の会社で勤めてます。」
「ふーん。OLってやつか。」

頬杖をつきながら翔さんがうなずく。
その時、はっ!っと気がついたように翔さんがこちらを向いていった。

「ってか、さっき。俺のこと翔さんって呼んだ?。」
「え、は、はい。」
「翔でいいよ。そういうのめんどくさいだろ?。」
「あ、癖なので…。」

真顔で言ったかと思うと、今度は笑いながら

「だから敬語じゃなくていいのに。」

と言った。

「あ、そっか…。」

恥ずかしい…と顔をうつ向かせると、翔さんは笑顔で

「そういうところも、いいところなんじゃない?お隣同士よろしくね。」
「…はい!…じゃなくて…うん。」
「ぶっ。」

その反応が面白かったのか、思いっきり笑う翔さん。
笑わないでください!!というと、ごめんごめん。といい笑顔でこっちを見た。

「じゃ、今日はおやすみ。」

その会話を最後にベランダから出た。

私も同じように、お休みと、会話を交わして。