「…え?。」
どこからか聞こえた、聞き覚えのある声に吃驚して声が震える。
そうするとベランダの仕切りが、トントンと音を立てる。
「こっちだよ。」
あ、この声は確かに。
しかも左隣は翔さんの部屋だ。
「こ、こんばんわ。」
「…ぶっ…こんばんわ。」
苦笑しながら翔さんがベランダから顔を出す。
「あんたも、夜の星見てたの?。」
「え、あ。はい。なんか寝付けなくて。」
「偶然。俺もなんだ。なんか今日は眠れなくて。」
「…そうなんですか?。」
私もベランダに手をかけ翔さんに目を向ける。
翔さんは黒髪のすっきりした顔立ち。
星空を眺める顔は絵になるほどだった。
「…何?俺の顔になんかついてる?。」
「え!?。あ、いや!なんでもないです。」
カッコいいと思っていたなんて言えなくて両手を顔の前でぶんぶんと振る。
その様子を見ていて翔さんは笑った。
「アンタ、面白いね。」
