数日後
私はついに新しい部屋へとついた。
真新しい部屋のにおいに、上京したてのころを思い出す。
あのときは、焦りと不安でいっぱいだった。

いくらかの荷物を運び出し、業者さんに物を食んでもらうと部屋は急に静かになった。
先ほどまでは大量の人が入ったり出たりと忙しかったというのに。

「さて…と…。」

引っ越しが終わり部屋には段ボールの山がびっしり。
細かなものは自分で片付けなければならないということを思い出す。

「明日も有給とったからな…今日と明日で片付けだぁ…。」

引っ越しで一番憂鬱な状況だ。

改めて部屋を見ると、そこは綺麗な場所が保たれていた。
前に住んでいた人は綺麗好きだったのだろうか?
ところどころほつれているような壁紙の裾が、白いペンキで覆われている。
丁寧なところこの上ない。

「すごいな…女の人かな??。」

前に住んでいた人が女の人なら、と共感を持ってしまった。

「よしっ!。」

私は気合を入れて、髪を結い目の前の作業に取り掛かった。