引っ越し当日がやってきた。
アパートの前には大きなトラックと業者の人でいっぱい。
「綾ちゃん。元気でね。」
お隣さんや大家さんにも声をかけられ私は笑顔で家を出た。
「綾ちゃん。風邪ひかないようにね?。」
「はい。」
「お水、出しっぱなしはダメよ?。」
「はい。」
「あ、後お風呂場は…。」
「分かってます!!!!。」
このアパートで起こしたいくつかの惨事を言葉に並べられると恥ずかしくなる。
確か…洗面所で歯磨きをしている時、水を出しっぱなしにしていたらあふれ出て床がびしょぬれになったとか…お風呂場で寝こけていくらインターホンを押しても返事をしなくて心配されてしまった事とか。
苦笑いを浮かべながら、私は頷いた。
「それじゃぁ…お世話になりました。」
「うん。また遊びにいらっしゃい。」
そういい、大きく手を振った。
後にこの引っ越しは、私のすべてを変えてくれたのだった。
