「…ということで、こういう契約でもいいかな?。」

書類の文面をよく見て私はうなずく。
あまり変わった様子は無かったが、唯一変わったのは部屋の間取りが前よりも少し広くなったことだけだった。

「はい!私にとってはありがたいくらいで!!。」
「そっかそっか!よかったよ!!。つい最近入居者がでてっちゃってね。」

新しい大家さん…村谷さんは苦笑交じりにため息をついた。
村谷さんは30歳と私よりも10歳年上の美人さん。
旦那さんもいて、お子さんも二人いるらしい。

「今日はあの子ら遊びに行ってていないのさー。旦那は仕事。」

笑いながら私に向かって話してくれた。

「来週には来ます。お騒がせするかもしれませんが…どうぞよろしくお願いします。」
「こちらこそ!仲良くやっていこうね綾ちゃん!。」

そんな笑顔で私は新しい家の後にした。

本当にここでもやっていける。
私は空を見上げて目を閉じた。


「よしっ!。」

握りこぶしを作って気持ちを入れると、前へと一歩進んだ。