授業終わりの鐘が鳴って、昼休みが始まる。王族が世界を支配する時間。祐也の膝の上にそれなりに顔の可愛いカノジョがやってきて、昼ご飯を共にする。化粧で塗り固められた中身が空ッぽのフランス人形がキラキラとした爪で、パンを千切って祐也の口の中へと運ぶ。

その端で、王様の下僕に、暴力をふるわれる白い背中。子供達の王国の、生贄。だから気にすることなんてない。祐也は口に詰め込まれた真っ白い塊を咀嚼して嚥下する。全てに空ッぽの味がした。



「ねえ」

君はこれでいいの。



少しだけ視線の絡んだ、生贄の眼が、黒く深く祐也に棘を刺した気がして。だから、いいんだよ、と小声で呟いた。鳥籠の中なら、安全だもの。膝の上に座る何処かの誰かが、祐也に微笑みかけて、白い塊を口腔に詰め込んできた。