レイナさんの話を聞き終わったあと、私は何て言っていいのかわからなかった。
レイナさんは物心ついた時から施設にいて、親の顔を知らないで育った。
小さい時には、悪さをしたり、食べ物をこぼしたりしたら叱られていた。
手を叩かれたり、ホッペをつねられたり……。
周りの子供に対しても、そんなことをしていたから、それが当たり前だと思っていたし、泣いて謝れば許してくれた。
でも、年齢が上がるにつれて、それは徐々に激しくなっていく。
殴る蹴るは当たり前。
何もしてなくても、理不尽な理由をつけられて殴られたり蹴られたりしていた。
顔は狙わないで、服で隠れるとこだけを狙って暴力を振るう。
このことは絶対に言うなって口止めもされていた。
皆、もし誰かに言ったら、それ以上のことをされるんじゃないかと思っていた。
レイナさんもそう思っていて、怖くて誰にも助けを求めることが出来なかったらしい……。